赤のVネック


奇跡の話をしたい。
僕がオドルココロ組んでいる時、衣装として赤いスゥエードのVネックを着てたんだ。
肩と肘に黒いつぎはぎがある、すげーださいやつさ。
絶対プライベートじゃ着れないような、ださださの服。
当時こやちゃんとリサイクルショップに行って衣装探しをしてたんたけど、この赤のVネックを見つけて、二人とも一発でコレだ!ってなり、即お買い上げ。
この、ださい感じ、そしてこの目を見張るような赤。
舞台で目立つ事間違い無しって思ったよ。
ずっとその衣装を着てネタをしてた。
そして、オドルココロは解散した。
解散してしばらく経った頃トゥーシャイシャイボーイの時の相方、横田くんから電話が来た。
解散したこと、今の近況などを一通り話したあと横田くんが言った。
「お前さー、赤い服着て舞台立ってたよな?」
「ああ、赤い服着てたよ。俺のトレードマークだったからな。」
僕は言った。
「あの赤い服、俺のだぜ?」
「はっ?」
「・・・だから、俺が着なくなったのをリサイクルショップに売ったんだよ!!」
「へっ?」
「その服をお前らが買って着てたんだよ!」
「・・・うそー!!??マジで!!」
「だから、お前は俺の服を着て舞台に立っていたって訳!」
「・・・マジかよ!!すげー!!」
僕は電話越しで涙があふれて止まらなかった。
なんか信じられなくて、とにかく嬉しいような恥ずかしいようなよく分かんない感情だった。
新しい形容詞を作るなら、【むねまむしい】って名付けたい感情だな。
ぼくら三人は何かつながっているんだ、って思った。
そしてこやちゃんが以前から、「横田くんは天から俺たちを見守っている」と言っていたのを思い出した。
これはギャグでも何でも無かった。
僕は横田くんを身にまといネタをしていたんだ。
三人でネタをしていたんだ。
僕が勝手に思ってるだけかもしれないんだけど、これは奇跡だ。
こんな経験出来るなんて、人生ってすげーおもしろいって思った。
明日はどんな事が待ってるのか?
正直、今は人生のどん底だ。
解散もしたし、R-1でも予選落ち。
いいことなんて何もない。
あるのかもしれないけど、見えてない。
だけど僕は前向きに生きていきたい。
こんなスペシャルな経験がこの先も沢山待ってるかもしれないから。


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